地図帳を使った授業は頻出分野
小学校社会の分野は、地理・歴史・公民などに分けられます。
それぞれで頻出分野があるのですが、地理分野では地図帳を使った模擬授業を指示される問題が頻出です。
それには理由があります。
社会で使う資料として多いのが、次のようなものです。
地図帳
地球儀
統計資料
写真
これらの資料の中で、最も使いやすい教材が『地図帳』です。
統計資料や写真は現物がないと授業そのものが成立しません。
全員に共通するイメージを思い浮かべることが難しいからです。
しかし、地図帳は頭の中に描くことができます。
世界地図
日本地図
都道府県の位置
受験自治体の大まかな形
記載されている「日本一長い川」「特産物」などの情報
実物がなくても想像をすることができるのです。
こういった教材は、教員採用試験で使われやすい傾向があります。
他にも次のようなものがあります。
国語であれば俳句。
算数であれば九九。
理科であればリトマス紙を使った実験。
受験をする部屋の中で共通認識を持ちやすい授業内容は出題されやすいです。
そういった考え方を前提に、今回は「地図帳」を使った展開を検討していきましょう。
模擬授業の作り方①とにかく発問を考える
「発問」というのは、いわゆる「質問」のことです。
児童生徒たちに、その発問を考えさせたり、交流したりする中で学習内容を理解させたり、広げたり、深めたりすることです。
この発問をたくさん考えることが必要です。難易度はまだこだわりません。
〇〇という地名を探しましょう。
△△山地はどこにありますか。
「赤」という文字の入った地名を見つけなさい。
日本の最東端はどこですか。
海のない都道府県はいくつありますか。
四国で最も高い山は何ですか。
地図帳を使ったクイズのようなものからで十分です。
まずは幅広に考えます。
模擬授業の作り方②めあてにあった発問を考える
日本の国土の学習でしたら、そこから山や川、平野などに関連した発問を探したり、新たに考えたりします。
先ほどの「①とにかく発問を考える」から探すのであれば、
△△山地はどこにありますか。
四国で最も高い山は何ですか。
などが考えられます。新たに考えるのでしたら、
地図の緑色はどこに多いですか。
日本で1〜3番目に長い川を見つけましょう。
などが考えられます。
模擬授業の作り方③最も面白そうなものから発問を並べる
発問ができたら、それらを並べ替えます。
言葉を繋ぎながら進めていくと、授業の形になっていきます。
A.これから地図帳を使った学習を始めます。
B.今日の学習は日本の国土です。
C.早速ですが、地図帳で平野は何色ですか。
緑色。
C.そうです。白地図を配ります。
D.配られた白地図に色を塗ります。平野の部分を緑色で塗りましょう。
E.気が付いたことがある人はいますか。
海の近く
広いところが何箇所かある
F.そうです。他にはありますか?
東京や名古屋・大阪など大きな町がある。
G.日本の国土には川や海もあります。そういったこともこれから勉強していきましょう。
ただし、このままだと思考場面が少ないです。
教師の指示通りに動いていくだけの授業になりがちなためです。
そこで、児童が面白そうと感じてもらえそうな発問を先に持ってきます。
1.みんなが知っている大きな町をできるだけたくさんノートに書きましょう。
東京や名古屋・大阪など。
2.そのような町もみんなが暮らす町もある日本の国土を勉強していきます。
3.日本は大きく分けて、山地と平野に分けられます。白地図を配ります。
4.平野の部分を緑色で塗りましょう。
5.塗れましたか。では、先ほどみんなが発表してくれた「大きな町」をその白地図に書き込んでいきましょう。
6.気が付いたことがある人はいますか。
緑色のところと大きな町が同じ場所にある。
海の近く
広いところが何箇所かある
7.緑色の平野と大きな町が同じ場所にある、のように日本の国土には、まだまだ秘密があります。これから探っていきましょう。
この流れが最も良いかと言われると、もっと他にも授業の展開は考えられると思います。
筆者の場合は「大きな町」と聞いた時に、どのような都市が出てくるかに興味があるので、この流れにしました。
こうすると結果的に緑色と町が一致するという形になっていきます。
「なんでだろう」という『思考場面』が生まれやすくなるのです。
授業内容で教えたり考えさせることは学習指導要領で決まっているが、その方法は担任が考える
学級担任はどのような授業展開が目の前の児童生徒にとって、より望ましいかを選択することができます。
受験生の皆さんも、模擬授業とはいえ、それは同様です。
自分自身がやっていて面白いなと感じる方法で模擬授業に挑戦してもらえたらと思います。